県内民商合同で行っている今年度の金融機関本店交渉。先週号の広島県信用組合号に続き、11月15日に広島市信用組合、20日に広島銀行と懇談を行いました。要望内容・回答は次の通りです。
★広島市信用組合の回答
事務局・役員4名で訪問。審査部の今中部長、波多野専務理事に対応して頂きました。
融資については「地場でうちほどリスクを抱えてでも融資を実行しているところはないのではないか。倒産や破産で弁護士から受任通知がくることも増えている。しかし、中小零細企業が取引の中心、融資は積極的かつスピードをもって対応している」「条件変更もNOと言うことはない。しっかりとお客様と話し合って寄り添った形で対応している」と回答。
伴走支援については「今メインとなっており、計画書作成も一緒に行っている。相談があれば対応している」「事業性のカードローンは推進はしていない」と回答されました。
税務調査等への対応については、今のところ調査はあまりないが要望の通りに対応していると回答。
また、ピピットリンク(行政機関から金融機関への預貯金照会業務のオンライン化)の導入は考えていないとの事でした。
原材料高騰や人手不足で中小零細企業が大変な状況であることも話し、県連で実施した業者実態調査の結果も手渡し、中小業者の実情を踏まえて対応をしてほしいとあらためて要望しました。
★広島銀行の回答
役員・事務局5名で訪問。営業企画部・法人企画室の長田課長ら4名に応対して頂きました。
新規・追加融資については「事業者の資金繰りに応じておこなっており、上期で4回の受託相談も開催して対応している」と回答。
条件変更等は、「外部環境で業績が悪化している事業者には本部と営業店で連携し、条件変更や追加融資に応じている。条件変更相談は10~15%位申し出がある」「資金繰りが厳しい事業者には伴走支援型特別保証を行い、上期の4月~9月で、357件の融資に応じている」「相談センターの人員も広島・福山で10人位増員した」との事でした。
コンサルティング機能については「M&A」「サステナビリティ・リンク・ローン」、後継者問題では広島県「事業承継・引継ぎ支援センター」を活用するなどで対応していると回答。
事業性フリーローンなどの誘導は「おこなっていないが、小規模事業者には伴走支援保証など、個別のニーズに応じておこなっている。ローンセンターの融資は保証料がかかるので少し高いが、低利になるよう相談している」としました。
税務調査については、従来と変わらず、納税者の立場に沿って対応していると回答。
ピピットリンクはすでに導入・利用しているが、件数は把握していない。滞納処分については国税徴収法に沿っている」との事でした。いずれも地域の中小事業者が大事との観点の懇談となりました。
金融機関本店交渉 要望内容
【融資相談等について】
1.物価高騰に直面している事業者へ運転資金や設備資金の新規・追加融資を迅速かつ最大限に行ってください。
2.既往債務の条件変更(返済期間・据置期間の延長、返済の減額等)の申し出があれば積極的に応じてください。
3.コンサルティング機能を発揮し、小規模事業者へ継続的な伴走支援、販路開拓や事業者同士のマッチングなど経営支援を強化してください。
4.低利の公的融資制度、小規模事業者に有利な融資制度を積極的に紹介・活用してください。事業性フリーローンなど高利のローンへの誘導は行わないでください。
【税務調査等への対応について】
1.税務署の調査に係る金融機関への反面調査(任意調査)等の際には、納税者である預金者本人に必ず連絡してください。
2.預金者の財産と秘密を守り、納税者の権利を守る立場を堅持してください。また、預金者本人の意向を尊重し、預金者の承諾のない「調査依頼」には応じないでください。
3.ピピットリンクの導入は、滞納処分のための滞納者の財産調査の権限を定めた国税徴収法141条の形骸化につながります。デジタル化による効率化重視で適正手続きがないがしろにされ、納税者の財産権、プライバシー権の侵害につながる恐れが大きいため導入は行わないでください。