新年度の学習会第1弾として、4月22日、会員の司法書士・原田明宏さんを講師に招き、登記の学習会を行いました。
登記にも色々ありますが、今回は不動産の相続登記の義務化に伴う留意点や、法人の登記などについて詳しく学習。オンラインも含めて28人が参加し、質問もたくさん出ていました。
不動産の相続登記について
所有者が亡くなったのに相続登記がされていない「所有者不明土地」が全国で増加し、九州の面積を上回る土地が所有者不明状態となっています。
そこで令和6年4月から相続登記が義務化されました。それ以前に相続が発生している不動産も対象となります。
原則、相続が発生してから3年以内に登記が必要となりました。
令和6年3月までに相続があった不動産については法律の施行から3年(令和9年3月末まで)となります。
また、令和8年4月から、所有者の住所・氏名の変更があった場合に2年以内変更登記も義務化されます。
★期限内に登記しないとどうなる?
正当な理由なく期限内に登記しないと10万円以下の過料(行政上の罰金・刑事罰ではない)が科せられる可能性があります。
正当な理由とは、「相続人が多数で把握に時間がかかる」「遺言の有効性や遺産範囲が争われている」「経済的に困窮していて費用を負担できない」など法務局の登記官が個々の事情を総合的に判断します。
登記官から登記をするよう催告があった際に「正当な理由」が認められれば過料はされないという事になります。催告があった場合は無視せずに理由を説明しましょう。
★登記費用について
相続登記の場合は、戸籍取得の費用、登録免許税(不動産の固定資産税評価額の0・4%)が実費として必要です。
遺言書が無い場合の遺産分割協議書や登記申請書類など自分でも作成は可能ですが、司法書士に依頼するとスムーズに進みます。報酬は司法書士によってまちまちです。

法人登記での注意事項
役員の登記
最近会員さんの中にも「いつの間にか会社の登記がなくなっていた」という方がありました。
株式会社の場合、役員には任期(原則2年、定款で定めれば10年まで可)があります。任期満了後は株主総会で新たに選任し、2週間以内に登記する必要があります。同じ人が役員を続ける場合も「重任」の登記が必要です。登記が遅れると過料に処される場合もあります。
役員の任期が最長10年なので、10年以上何の登記もしないのはおかしいという事になります。
12年以上何の登記もしていなかった場合、法務局が職権でみなし解散登記をしてしまう事があります。
ただ、みなし解散の登記をされてしまった場合も、速やかに「継続登記」を申請すれば解散のリスクは回避できます。基本的に過料が処されるので10期を迎えたら役員の登記について考慮しておきましょう。(有限会社や合同会社には役員の任期はありません。)
株式会社と合同会社の違い
株式会社は株主と役員がバラバラでも可。設立には定款の認証が必要なので実費で約20万円かかる。
合同会社は出資者が役員となる。役員の事を「社員」と呼びます。定款の認証が不要なので株式会社より安く設立できるのがメリットです。
その他、会社設立までの流れや必要な事項など分かりやすく解説していただきました。
参加者からは「相続放棄した場合、その不動産は誰のものになるのか?」「遺産分割協議でなかなか決まらない場合はどうなるのか?」
「法定相続人がいない場合は国のものになるのか?」「法人の役員の任期が過ぎたら法務局から知らせは来るのか?」など様々な質問が飛び出していました。
質問も多かった事から、不動産登記などは個々に複雑な事情を抱えている物件も多いと思われます。今のうちに物件を把握し必要があれば司法書士などに相談しましょう。
今回講師にお招きした「あい総合事務所」では民商会員のサービスもあるそうなので、ご相談がある方はお気軽にお問い合せ下さい。
司法書士法人 あい総合事務所
(082)511 1227