令和7年の税制改正で、今年の所得税の計算が大幅に変わっています。 広島民商では、11月27日、事務局員が講師となり、主な改正点を学ぶ学習会を開催しました。昼の部・夜の部、オンラインを含め37名が参加しました。
「収入」と「所得」は別物
改正点を正しく理解する前提として、まず始めに「収入」と「所得」の違いを学習しました。
個人事業の方は、売上が「収入」で、経費を差し引いた利益が「所得」となります。
給与や年金収入の場合も「収入」と「所得」は全く別物です。給与・年金にもそれぞれ法律で定められた「所得控除(経費のようなもの)」があり、これを差し引いた残りが「所得」になります。個人事業と年金など複数の収入がある方はそれぞれの計算方法で所得を出し、合算したものがその年の「総所得」となります。
改定点①給与の所得控除が65万円に
給与収入にも法律で決められた「給与所得控除」という名の経費のようなものがあります。収入から左記の計算式で計算した「給与所得控除」を差し引いた残りが給与所得となります。
この給与所得控除の最低保証額が、昨年までの55万円から、65万円に引き上げられました。上限は195万円となっています。
計算が苦手な方は、左記のQRコードから国税庁のホームページで給与の収入と所得が表になっていますので確認してください。
改定点②基礎控除引き上げ
税金を計算する前に、所得から引く事ができる扶養などの「控除」があります。
その中で人一人の最低保証とも言えるのが「基礎控除」です。この基礎控除が所得税法で昨年までの48万円から58万円に引き上げられました。 この改定により、扶養に入れるのはこの基礎控除と同じ所得58万円以下までの親族(6等身以内の血族、3等身以内の姻族)となります。
給与の場合は、改定点①で学習した最低保証65万円+基礎控除58万円の123万円までの方が扶養控除の対象となります。去年までは給与の最低保証55万円+基礎控除48万円で103万円の壁でした。
103万円の壁が123万円の壁になったというのはこういう仕組みです。
また、物価高騰の影響も考慮し、左記のように低所得者はさらに上乗せで控除される事になりました。(上乗せ部分は租税特別措置法で制定)
合計の所得が132万円以下の方は期限を設けずに基礎控除が37万円上乗せされ、95万円となりました。
また、合計所得132万超~655万円以下の方も、令和7年・8年の2年間に限り左記のように上乗せされます。※の部分は令和9年からは58万円です。
住民税の基礎控除は変わらない
今回、所得税の基礎控除は引き上げられましたが、住民税の基礎控除には左記の通り変更はありません。
扶養の範囲を超えないように給与123万円(所得58万円)ギリギリを意識すると、所得税は基礎控除58万を引いて0ですが、住民税は43万円しか基礎控除がないので差額の15万円に課税される事になります。
住民税の非課税基準は自治体により異なりますが、広島市の場合、給与110万円(所得45万円)までが非課税なので考慮しましょう。
改定点③特定扶養親族特別控除
大学生などにあたる19歳以上23歳未満を「特定扶養親族」と呼び、扶養控除も63万円と大きくなっています。
これまでは扶養の範囲を超えると一切控除はありませんでしたが、今年から、19歳以上23歳未満の子がアルバイト等をして扶養の範囲を少し超えても、左記のように金額に応じて保護者が「特別控除」をとれるようになりました。
あくまで「特別控除」であって、「扶養」からは外れています。扶養の人数にはカウントされませんので住民税の非課税世帯は注意しましょう。
今回はこのように主に所得税に関する主な3つの改定点を学習。参加者の皆さんも「収入」と「所得」の違い、基礎控除58万円の所得までが扶養に入れるなど基本的な事は理解できたようです。
これから年末調整をする際も、扶養の届には「所得」を記入するようになっています。間違えて収入を書く人も多く、本来なら扶養に入れるのに外れてしまう事例もあります。
今回学習した内容を周りの人にも教え、皆が税金に詳しくなれば行政にも交渉や申し入れなどで話がしやすくなります。
皆さんも民商でしっかり学習し、周りの人にも勧めて一緒に税金について詳しくなりましょう。


