令和4年10月から始まり、4年近くにわたった長い税務調査が、令和8年7月6日の国税不服審判所の課税処分の一部取り消しの裁決で終了しました。
審判所が新たに認定した経費は、3年間で約1560万円。取り消され税額は約300万円にも上り、税務署のずさんな調査が浮き彫りになりました。
常軌を逸した「でたらめな調査」
久保博隆さんは毎年確定申告を行っていたものの、多忙のため不十分な内容となっていました。税務調査の連絡を受け、知人に紹介された広島民商に入会。「間違いは正し、納めるべきものは納める」という真摯な態度で資料を整理し、調査に臨みました。しかし、担当職員は、同席した事務局員に対して「守秘義務」を盾に排除しようとし、帳簿の持ち帰りすら拒否しました。押し問答の末しぶしぶ資料を持ち帰った後も、今度は領収書について細かすぎる内容を追及してきました(左記)。商売をされている方なら、この要求がいかにむちゃなものか認識できると思います。
その後、10カ月余りも連絡がない空白期間を含む約2年4カ月にも渡る不当に長い期間を経て、税務署は一方的に経費否認の結論を提示してきました。
従業員への聞き取りができなかったという理由だけで給与全額を経費から除外し、所得率(利益率)を50%~73%という異常な数値に設定したのです。
久保さんや同席した井上弁護士が説明を求めても「何を否認したかは更正決定通知書で確認しろ」と冷たく突き放すのみでした。
機能不全の再調査
久保さんは税務署に対し、長期にわたる調査や事業実態を無視した経費否認、立証責任の転嫁などを指摘して再調査を申し立てましたが、「請求人の主張には理由がない」と全面的に棄却されました。
国税不服審判所へ審査請求
久保さんは一縷の望みを託し、独立機関である国税不服審判所へ審査請求を行いました。通常、納税者の主張が認められる割合は約7%にすぎないという厳しい現状があります。それでも久保さんは約1年間にわたり、数度のヒアリングに応じ、意見書や手帳などの資料を提出して処分の取り消しを強く訴えました。
その結果、久保さんの主張すべてが認められたわけではないものの、審判所が新たに3年間で約1560万円の経費を認定。これにより、税務署の強引でずさんな調査が客観的に証明され、「処分の一部取り消し」という大きな成果を勝ち取ることができたのです。
日々の記帳こそが最大の武器
長きにわたる闘いを終え、久保さんは「長期間本当に苦しかったが、一部でも税務署の誤りが認定されて本当に良かった。キチンと記帳することの重要性を改めて感じました。これからは仕事に専念していきます」と笑顔で語りました。
今後、AIをフル活用した国税庁のシステム「KSK2」の本格稼働も予定されています。日々の「自主記帳、自主計算、自主申告」こそが自らの商売を守る一番の武器となります。この教訓を生かし、記帳の取り組みをますます発展させていきましょう。


