広島民主商工会は中小企業経営者をバックアップいたします

広島民主商工会の会員の業種は、建設業、飲食業、小売業、サービス業などさ まざま。決算・申告・納税など経営者の悩みにアドバイスします

〒730-0013
広島県広島市中区八丁堀2−3 広島商工会館 2F
電話:082-221-0613
広島民主商工会(民商)は、中小業者でつくる組織です。
60年の歴史があり、すべての都道府県に連合会があり、 全国商工団体連合会(全商連)はその全国組織です。
会員の業種は、建設業、飲食業、小売業、サービス業などさまざま。全国に約600の民商があり、25万人の仲間がいます。
自らの帳簿に基づいて自分で税額を計算し、自分の責任で税額を決める「自主計算・自主申告」
金融対策や税金 対策などに頭を痛める中小業者の悩みに応える「なんでも相談会」をはじめ、消費税増税反対、大型店の出店規制 、商店街や地場産業の振興など、地域に根ざした中小業者の業者を守り発展させる運動に取り組んでいます

労働基準法・ハラスメントについて学習

今年度力を入れている広島民商の学習会。第8弾として11月21日、広島労働局の職員を講
師に招き、労使間トラブルを避けるためのポイントなどを学習しました。オンラインも含
めて42名が参加しました。

第1部は労働基準法の基礎知識として、広島労働局・労働基準部監督課の三時範裕さんに
具体的な事例を交えながら分かりやすく解説頂きました。

雇用したら
まずは労働条件(左記の内容)について原則書面で明示することになっています。口約束だ
と、事業主は時給1000円と伝えたのに労働者が1500円と聞いたなどでのトラブル
も実際にあるそうです。
労働者が10名以上いる場合は、就業規則も作成し、労働者代表の意見書を添えて労働基準
監督署に届出が必要です。

賃金の支払い
通貨で(労働者の同意があれば銀行振込も可)、直接、全額払いで、毎月1回以上、一定期
日(毎月15日など)で支払い日を決めて支払わないといけません。
よく「お皿を割った分の弁償を差し引いて払う」などがありますがこれはダメです。労働
局では一度全額支払ってから徴収するという形をとるように指導しています。

時間外労働
労働時間の基本は、1日8時間、週40時間。これを超える場合は、超える時間によって、
労使協定、36協定が必要です。時間外労働の上限は原則、月45時間、年間360時間とな
っています。
残業時間や休日出勤については、割り増し賃金が発生します。トラブルのほとんどがこの
未払です。労働者も請求するときは争うつもりで来ますので、1年分計算すると数十万に
なったりする事例もあります。時間外勤務でも働いた分の給与をきちんと渡していれば、
トラブルになる事例はほとんどないそうです。

年次有給休暇
6か月以上勤務すると、正社員だけでなく、パートやアルバイトでも有給休暇が取得でき
ます。また、有給休暇が10日以上付与される労働者には、年5日を取得させることが義務
となっています。
労働関係法は、労働者を保護するための法律だと思われがちですが、使用者を守るための
法律でもあります。各法のポイントを押さえ、今後の経営に役立てていきましょう。


ハラスメントの定義と対策
第二部は、講師を広島労働局上内隆司さんに交代し、ハラスメントについて学習しました

セクハラは、性的な言動・行動そのものが業務上必要ないものなので、受けた人が不快と
感じたら該当。防ぐには職場で不必要な性的言動をしなければ良いという事になります。
パワハラとは、
①優越的な関係を背景とした言動
②当該言動が業務上必要かつ相当な範囲を超えている
③それにより労働者の就業環境が害されるもの
この③つの要件全てに該当するものです。当然、業務上の注意や叱責が必要な場合もあり
ますので、セクハラのように受けた側が不快というだけでは該当しません。暴力でケガを
負った場合は1回でも該当になりますが、1回の恫喝では該当しなかった判例もあります


パワハラでの調停事例として、
★上司に相談したが、何も対応してくれなかった。過呼吸となり心身の健康維持が困難と
なり、退職。損害賠償及び慰謝料を合算して約120万円を請求。
★「威圧的な口調でバカ・アホなどと暴言をはいた」「長時間の叱責、物を投げつけるな
どのパワハラにより精神疾患を発症した」として謝罪と慰謝料100万円を支払った事例
などが紹介されました。

パワハラを防止するには、何がハラスメントに該当するのかを事業所全体で理解し、労働
者が他の労働者に対する言動に必要な配慮をしていくことが大切です。相談された場合に
は、事実確認を行い、適切な対応をする必要があります。また、プライバシーを保護し、
不利益な取り扱いをしないこと等が義務付けされています。

最後の質問タイムでは、
Q終業時間になって帰れと言っても仕事を続ける場合は残業代を払わないといけないのか

A労働を受け取った以上は支払いが必要。労働を受け取らないようにしないといけない。
などなど様々な質問が出て、参加した皆さん「勉強になった」と大好評でした

労働条件 原則書面で交付
必ず明示しなければならないこと
①契約期間に関する事
②期間の定めがある場合は更新基準に関する事
③就業場所、従事する業務に関する事
④始業・終業時刻、休憩、休日などに関する事
⑤賃金の決定方法、支払時期などに関する事
⑥退職に関する事(解雇事由を含む)
⑦昇給に関する事
その他、安全衛生、食費、休職や退職手当、表彰・制裁など別途定めがある場合はその明
示も必要

中国5県連合同で広島国税局と交渉

11月20日、中国5県連合同で広島国税局交渉を行いました。この交渉は毎年行っているもので、今回は15名が参加し左記にある趣旨の申し入れを行いました。広島国税局からは藤山総務課長補佐ら3名が応対しました。

最初に藤井広島県連副会長が「中小事業者は物価高騰で大変厳しい環境にある。インボイス廃止、消費税下げろは先の総選挙でも国民の声です。まずは裏金議員に適正な課税を行うべき」と訴えてスタートしました。


申し入れに対する藤山補佐の回答

①「インボイスについては昨年10月以降も定着に向け、あらゆる手段を使って丁寧に事業者に寄り添って説明している」

②「(収受日付見直しは)政府のデジタル社会実現に向けた重点計画等を踏まえ、納税者の利便性の向上等の観点から、手続や業務のあり方の抜本的な見直しを進めている」

③「税務相談停止命令制度は、納税者同士で一般的知識を学び合うといった税務相談に該当しない取り組みを対象とするものではない」

④「国税庁の使命を適切に実施する観点から、公益的必要性と私的利益との衡量において、法令の調査手続きを遵守し、適切に対応している」、⑤「行政コスト抑制等の観点から随時見直しているが、希望される場合には送付している」と回答しました。


インボイスは廃止しかない!

回答に対し交渉団は「周知したというが結局新規登録者の13%もの人が未申告となっている」「登録しないと仕事を発注できないといわれている」「執行機関として、トラブルが続出していることを認識し、制度改善を行うべき」などの意見が飛び交いました


収受印は継続を!

申告書等の収受日付押印については「公文書にである申告書に押印し返却するのは当たり前。他官庁で廃止するところはない」「(押印廃止は)金融機関本店でもよくわかっていない事例もあるし、金融機関としては継続してほしいとの思いがあるといわれている」「税務署が紛失した事例もある。納税者のみに負担を押し付けるのはダメ」など再考を促す意見が続出しました。


不当な調査を行うな!

岡山での行き過ぎた事案については請願書が提出をされました。広島からは「税務調査となって既に2年を経過している。わずかな支出にも業務関連性を証明しろと膨大な手続きを強いている。改善してほしい」など、理解と協力を得て行う任意調査を求めました。納税者支援調整官の役割見直しについても要望を行いました。


予定時間をオーバーしての交渉となりましたが、制度を改善させていくには多くの人が声を上げていく必要があります。私たち中小事業者を苦しめる「インボイス制度廃止」はもちろん、デジタル化についていけない納税者が切り捨てられることのないよう、また納税者の権利の確立、仲間同士の学びあいに干渉しないなど一つずつ要請していくことが大切です。

共済会秋レク 楽しく交流できました!

毎年恒例行事となっている楽しい共済会の日帰りレク。今年は11月3日(月)69名の参加で山口・湯田温泉に行ってきました。

山口市といえばアメリカのニューヨーク・タイムズ紙の「2024年に行くべき52カ所」で3番目に選ばれ、今注目されている観光地。まずは国宝瑠璃光寺五重塔へ立ち寄りました。瑠璃光寺は約70年ぶりの檜皮葺屋根の全面葺き替え工事中で、残念ながら全容はシートに覆われて見えませんでしたが、現地のボランティアガイドさんの案内で歴史の説明を受けながら散策しました。


京の都を模した山口市の街並みや、紅葉した雪舟庭園の景色に秋を感じながらしっかり楽しんで湯田温泉へ。西の雅「常盤」での宴会がスタートしました。

平野和弘理事長から「9月~11月は秋の拡大月間です。仲間が増えれば発展する自前の共済会。ぜひ家族・従業員も含め加入してください」と力強い訴え、四郎田宗則組織建設委員長からも「今年70周年を迎える広島民商。紹介運動でもっと大きくしていこう」と訴えがありました。


カラオケ大会では、あっと驚くプロ顔負けの歌唱力の方もおり、日頃の疲れを温泉で十分癒しました。しっかり山口名物瓦そばも美味しくいただき楽しく交流して帰りました。

弁護士に聞く 交通事故学習会

誰もが加害者にも被害者にもなりうる交通事故。頭ではわかっていてもいざ事故を起こしたらパニックになりがちです。いざという時に慌てず正当な解決ができるようにと10月23日、宮崎翔太弁護士を講師に招き『弁護士業務を通して見る交通事故の基本』と題して学習会を開催しました。オンラインを含めて36名が参加し、関心の高さがうかがえました。

警察への事故届は必須

物損・人身はどちらに?

まずは事故が起きたら必ず警察に届けます。軽微な事故だからとか面倒だからとかで警察への届け出を怠ると「交通事故」として扱われなくなり保険会社も弁護士も関与することすらできません(場合によっては罰もあります)。

よく聞かれる項目に事故証明で『物損』にするか?『人身』するか?を重要視する人がいますが、どちらを選んでも実務的には大差はありません。どちらを選んだとしても実際にケガをして治療が始まれば、それはもう人身事故になります。物損にチェックをしたままケガの治療を始めたとしても、保険会社の補償の対象となります。

損害の内容は?  損害の内容として、特にもめることが多いのは休業損害(事故により失われた収入補償)、慰謝料(肉体的・精神的苦痛に対する賠償)、後遺症(認定されるかされないかで大きな違いが出ます)の3つが代表的なものとして挙げられます。

自営業者の休業補償は?

通院等で仕事を休んだ場合の休業補償は所得で決まります。原則、自営業者の場合は確定申告の内容が基本になります。申告所得が低いと補償も少なくなってしまうことも・・。実務の中では、実際に働いている人よりも無職者の方が補償が高いという矛盾も現実にはあるそうです。

慰謝料・後遺症

慰謝料は入通院期間の長さで決まってきます。ここで大きく違いが出てくるのが「裁判基準(通称・赤本)」と「自賠責基準」。入通院期間が長くなれば金額が上がるのは当然ですが、それ以上に弁護士が介入しないと慰謝料は「裁判基準」になりません。弁護士特約をつけていれば弁護士報酬は保険で賄ってもらえます。 治療期間が一定経過した場合、これ以上治療しても良くも悪くもならない状態を「症状固定」といいます。そこで検討されるのが「後遺症」で、裁判で争われることも多いそう。認定に当たって実際に力になるのはレントゲンやCTなどの客観的証拠。こうした画像に写らない「むち打ち・頸椎捻挫」などは本当に痛くても厳しいことも多いとのことです。

納得いかない?過失相殺

過失相殺は、相手と自分の過失の割合を決めるものです。一方通行逆走や一時停止違反者と事故をした場合でも、一定の過失割合があるので注意しましょう。

さらに不合理なのが相手が高級車の場合。仮に相手の過失が9であったとしても自分の支払が多くなる場合もあるとのこと。皆さんも高級車とは極力事故にならないよう避けた方が無難です。

交通事故をどう解決するか?

示談交渉は①本人が行う、②弁護士へ依頼する、③交通事故紛争処理センターに申し立てる(センターでの解決には保険会社に片面的拘束力があり、保険会社はだされた条件を拒否できないという義務があります。広島にもあるのでぜひ覚えておきましょう)方法がありますが、示談でどうしてもの納得いかない場合は訴訟での解決があります。

訴訟で逆に不利になるケースも

訴訟にはそれなりのリスクがあり、示談時の条件を訴訟で否認して裁判で覆るケースも稀にあるとのことなので注意しましょう。

チェックポイント

特約は交通事故以外でも使える

これは権利保護保険なので弁護士特約は交通事故に限らず、誰かに殴られてけがをした場合の解決や同居の親族の場合にも適用されることがあるので必ず確認しておきましょう。

交通事故に遭った時の最大のポイント

最後に宮崎弁護士は「交通事故で儲けることはないと思っておいた方がいい」のが最大のポイントと強調します。少しでも補償してもらいたいというのは万人にあるが、事故にこだわりすぎるあまり、訴訟に持ち込まれてしまったり、いつまでも精神的な負担が続くのは得策ではない。適切な補償を適切なタイミングで解決することが一番と思っていると締めくくられました。


しっかり説明を聞いた後は質問タイム。実際に交通事故にあったという参加者からもたくさん質問が出されました。

「相手が無保険で自己破産された場合はどうなるのか」「今、まさに事故で交渉中。珍しい車に乗っているので部品の調達に時間がかかっている。どうなるか不安」「追突でムチウチになった。全然良くなる気がしない。後遺障害は取れるか?」「相手に現場から逃げられた場合どう対処すればいいか」「弁護士のタイムチャージ制というのはお得なの?」など、疑問や不安、弁護士を使った時の報酬の決め方に至るまで色々聞くことができ、大好評でした。

上記のQRから学習会の様子を視聴することができますのでご覧ください!

中小業者の実情を訴え! 支援求め県へ提言

県内民商の集合体「広島県商工団体連合会」は2018年に広島県中小企業・小規模企業振興条例に基づく中小企業支援団体に認定されています。今回で7回目となる広島県との個別会議が10月10日(木)広島民商会館4階会議室で行われました。

広島県からは商工労働局商工労働部の藤原総務課長、渡邊経営革新課長ら4名、民商側からは広島県商工団体連合会(県連)の坂井哲史会長ら13名が参加をしました。(広島民商からは宮本・四郎田両副会長ら4名が参加)


冒頭、藤原課長から『皆様の声をしっかり受け止めて帰りたいと思います』との挨拶から、事前に要請した「政策提言2024」への要望項目にこたえる形でスタートしました。

広島県とは2018年に起こった西日本豪雨災害におけるグループ補助金で、ともに地域業者を守ろうと連携し信頼関係を築いてきました。以降、毎年の個別会議では率直な意見交換を行っています。コロナ禍の下での施策でも、地元事業者に対する支援事業の内容や改善すべき点などを、生の実態を行政へ届けてきました。

近年は3年目となる「営業動向調査」の結果を示しながら、リアルな数字を基に切実な要求を届けています。

藤原課長は、県として適切な価格転換を推進できるようパートナーシップ構築や、県内市町と連携して地域の実情に応じたきめ細かな対策のため、事業者支援額の補助などの実績を説明。提言にある事項について、多額の財源を県単独で措置するということは極めて難しいことから、十分とは言えないが国の施策に上乗せ支援を行っていることなどを丁寧に説明しました。


価格高騰の実情

民商側からは四郎田さん(弁当製造・広島)から価格転嫁が厳しい中、物価高騰の影響や最低賃金の引き上げが経営を圧迫していることを報告。高橋さん(運送・三次)からは、タイヤやガソリンなどの異常な物価高騰に耐え切れず事業を廃業せざるを得ない状況が切々と語られました。

藤原課長は「行政にできる支援には限りがあるけれども、事業者支援に知恵を絞っていかなければと強く思う」と応えられました。

懇談の中では「市町に任せるだけではなく、県がもっとイニシアチブをとった支援策を実行してほしい」「パートナーシップ宣言も実効性を持たせるために親会社にもメリットをつけるべき」などの意見交流を行いました。


柔軟な融資を

融資問題では、過去に事故(破産など)があったとしても、連鎖倒産や保証かぶりなど事情は様々。一律に制度融資から除外するのではなく、現在の事業も勘案して柔軟に対応してほしいと実情を交えて訴えました。

渡邊課長からは、災害時のセーフティネット発動などの仕組みに加え、県が国の保証料補助に上乗せして実質ゼロベースにもっていくなど「なるべく皆様方に寄り添った形で運営していき、国の方にも要望していきたい。皆さんの資金需要に応えていくためできる限りのことは行っていきたい」と応えました。


また参加者からはインボイス制度がすべての事業者の足かせとなっている実態や、作田さん(事務局・三次)からは「本来社会保障であるべき社会保険や国保が、逆に営業と暮らしを圧迫している。コロナ時以上に倒産が増えている現在こそ緊急事態だという認識で対処してもらいたい」などを強く要望しました。

限られた時間でしたが最後に宮本さん(不動産・広島)から「これからも来年も再来年も、続けて我々の現場の悲鳴を聞いてもらって一つでも良い施策を作ってもらい応援していただきたいと思います」と締めくくりました。

これからも引き続き行政に声を届けていきたいと思います。

第17回全国業者青年交流会

10月5日・6日、岩手県花巻温泉で「第17回全国業者青年交流会」が開催され、広島県の青年部協議会から6名が参加しました。

全国から集まった372名の参加者と共に「皆でかたって(岩手弁で「集まって」)楽しく学ぶべ」をテーマに、記念講演や意見交換・グループワークを通じて、経営に役立つ知識を楽しみながら学びました。


災害復興で見えた中小業者の重要性

記念講演では、岩手県を代表する復興問題の第一人者 斎藤徳美氏(岩手大学名誉教授)が「震災復興と地域創生は表裏一体」をテーマに講演され、東日本大震災からの復興において中小企業が果たしてきた役割の重要性が強調されました。事業継続計画(BCP)の導入の重要性や、地域の強みを活かした取り組み事例が紹介され、災害時における中小企業の役割が改めて認識されました。


パネルディスカッションでは大貝健二氏(北海学園大学教授)が「中小業者のなりわい再建」について講演。さらに、震災時実際に復興に携わった青年部の児玉さんが、自社の重機をすぐに提供し、仲間と共に地域の復興に貢献したエピソードを披露すると会場は熱い拍手に包まれました。


「現在の復興は8割、残す2割はまだ生まれ育ったまちに帰れていない人がいる。本当の復興は住んでいた人が安心して元の街で暮らせることだ」と語られました。

地域密着の中小業者が率先して復興を支える姿に、多くの参加者が共感。最後は「待っていても復興は進まない」と、行動の大切さが強調されました。


分科会

2日目の分科会は「事業承継・M&A」「民商運動の継承」「新規開業」「SNSマーケティング」「助成金・補助金」「消費税インボイス」「青年部づくり」「家庭・子育て」をテーマに、悩みや疑問、経験を交流し、経営や運動のヒントを学び合いました。広島からの参加者が参加した分科会をご紹介します。


★助成金・補助金について

広島民商の会員でもある田原聡史社会保険労務士が、助成金・補助金についてわかりやすくパワーポイントを使いながら解説。実際に助成金・補助金を活用して経営改善を行った事業者の具体例を紹介しました。広島民商青年部佐竹亮次部長も実際の経験を語り、参加者からは「助成金・補助金はハードルが高く、うちみたいな小規模事業者は受けられないと思っていた」「田原先生の話を聞いて、助成金・補助金を身近に感じられるきっかけになりました」と、今後専門家と連携しながら助成金や補助金を活用する方法を学びました。


★事業承継・M&A

次世代への経営引き継ぎに向けた知識を深める機会となりました。学びある時間はあっという間で「もう少しグループディスカッションしたかった」という意見も出ました。

夜に行われた交流会の余興では「さんさ踊り」が披露され、わんこそば大会では広島チームが上位に入賞。会場全体が楽しい雰囲気に包まれ、全国幹事との繋がりだけではなく、他民商青年部との繋がりが強まりました。

今回の交流会を通じて、初参加の青年部員から「何も知らなかった民商組織、青年部の活動が少し見えてきた気がする。民商青年部に魅力を感じたので、今後は積極的に活動に参加したい」と頼もしい声も。


「民商の価値を後世に伝えていきたい!」と思いを再確認し、楽しくも学びの多い交流会となり、次回の県青協活動への意欲を高める事ができました。

今後は広島県青協の活動をさらに活発化させるとともに、県内民商青年部・広島県連との連携を強化し、県青協再建を進めていきます。

医療従事者に聞く 問題だらけのマイナ保険証

広島民商の今年度学習会第5弾として9月24日(火)、広島県保険医協会の堂河内あずさ氏を講師に招き「医療をとりまくマイナンバー施策 問題だらけの保険証廃止」と題して学習会を行いました。会場の民商事務所4階は参加者でいっぱいとなり、オンライン参加も合わせると46名と過去最高の参加者数で、この問題への関心の高さを伺わせていました。


マイナンバーカードとマイナンバーとは?

マイナンバーカードについては様々な問題が挙げられますが、今回は健康保険証について詳しく話して頂きました。2023年の6月にマイナンバー法の一部改正法が成立。改正により12月2日に現行の健康保険証が廃止されるということで進んできている現状です。

そもそも「マイナンバー」とはすべての国民に強制付与された12桁の社会保障と税の共通番号のことを言います。「マイナンバーカード」はICチップに埋め込まれた「公的個人認証」を使って本人の証明と個人情報の幅広い収集を行うもので、言葉は似ていますがまったく異なるものです。そしてさらにカードには12月2日からマイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証等の利用)が加わることとなります。


マイナ保険証利用の問題点

①地域の小規模医療機関を廃業に追い込む

マイナ保険証利用の大きな問題点の1つは「オンライン資格確認義務化」です。オンライン資格確認の義務化というのは、電子レセプトを請求する医療機関にオンライン資格確認システムの導入を義務とするというものです。

国はカードリーダーの機械を設置する費用の一部など、一定の費用は補助するもののネット回線の引き込みやセキュリティ対策等は自己負担。多くの医療機関は補助金だけではまかなうことができず、何十万、何百万も実費で負担する必要があります。

また、高齢者の多い地域によってはマイナ保険証を使う人などほとんどいないという医療機関にも等しく義務付けられることにより「負担に耐え切れない」「事務負担などに対応できない」小規模診療所は国の指導対象となり閉院・廃業せざるを得ない状況が生まれていることです。


②保険証の廃止が必要なのか?

この間、マイナ保険証では「顔認証ができない」「ネットワークエラー」「他人の情報が誤って紐づけ」等のトラブルの嵐が相次いで起こっています。

昨年5月マイナ保険証の相次ぐ誤登録で、政府は総点検(実際は全件点検ではない)を表明しました。政府の総点検後にも関わらず、2023年10月1日以降のマイナ保険証、オンライン資格確認に関するトラブルを医療機関で調査したところ、約60%の医療機関で「(番号なしや無効等)資格が確認できない」「(旧漢字等)名前や住所が●で表記される」トラブルがあったと回答。そのトラブル対応として「その日に持ち合わせていた健康保険証で資格確認」が8割を超えるなど本末転倒な事実な状態が報告されました。

また今後健康保険証が廃止された時の受付業務については「廃止後は受付業務に忙殺されると思う」「診療の待ち時間が長くなると思う」と多くの医療機関が懸念を抱えてます。


健康保険証廃止で何が起こるのか?

2兆円を超えるマイナポイント事業で、今年6月現在9千万余りの人がマイナンバーカードを作成していますが、実際マイナ保険証を利用している人はわずかに1割です。しかも、機器の不具合や登録の誤りで、情報が確認できないと誤った治療や投薬が行われる危険性があり、医療機関に過度な負担がかかります。

さらに新しくマイナ保険証を持っていない人に交付される「資格確認書」や「顔認証マイナカード」等、最大8通りの資格確認で、私たちはもちろんのこと、医療機関や行政窓口の大混乱が起こることが予想されます。

認知症などの利用者を抱える高齢者施設への影響についても「紛失時など事業者側の負担が増加する」「事業所内の担当が替わるため、情報漏洩など心配」という声が挙げられており、事業者が引き受けられなければ本人や家族の負担が増えてしまうことになりかねません。

従来の保険証を廃止し、本来任意であるはずのマイナンバーカードに保険証登録させることで、事実上カード取得を強制しようとしています。今後、交付も更新も申請が必要なマイナ保険証となれば、更新漏れで無保険状態を生み、国民皆保険を危機に陥れることになります。


保険証は生命を最優先に

政府はマイナ保険証のメリットとして「なりすましが防げる」「高額療養費や確定申告の手続きが簡素化される」などを挙げますが、保険証廃止のデメリットとは比較になりません。災害時にマイナ保険証がなんの役に立たないことは実証済みです。

また日々、生命の最前線で闘う医師の9割以上が「健康保険証を残す必要がある」と答えているのが現実です。

現在の保険証は来年7月末まで使用が可能です。その後も最長5年はマイナ保険証がなくても新しい資格確認書で受診は可能です。10月からマイナ保険証の解除手続きの受付が始まるので不安があれば解除も可能となっています。 この問題だらけの政策は私たちの運動で変えていくことはできるはずです。

保険証残せの運動を広げていきましょう!

知らなきゃ損する!? 助成金活用術

広島民商の今年度学習会第4弾として8月28日(水)、社会保険労務士の田原聡史氏を講師に招き、助成金の学習会を開催しました。オンラインを含めて29名が参加し、助成金の種類や実際に申請した事例などを見ながら学習していきました。


補助金と助成金の違いは?

補助金は経営の売上向上が目的で、従業員の有無は問いません。ただ、審査があるため申請しても受給できるのは30%~50%程度となっています。

助成金は従業員の働く環境向上が目的で、その財源は雇用保険。従業員のいる事業所で、要件を満たせばほぼ100%支給されます。申請代行は社会保険労務士の独占業務となっており、今回はおすすめの助成金とその活用例を教えていただきました。



おすすめの助成金

★キャリアアップ助成金

正社員化コース

パートや契約社員を正社員へ転換することで申請できる。入社当初は見習い期間とし、慣れてから正社員にする。能力が上がってきたので正社員にしたい人がいるなどのタイミングで活用しやすい。

賃金改定コース

パート従業員の賃金を一斉にアップ(3%以上)した場合に申請できる。 10月の最低賃金の引き上げで賃金を上げる必要がある場合は、前倒しで9月から引き上げても対象となるので上手に活用しましょう(今年も10月から右下のように最低賃金が上がります)

★65歳超雇用推進助成金

入社して5年未満の50歳以上の有期契約の方を無期契約に転換することで申請できる。

★働き方改革推進支援助成金

設備導入等により、時間短縮・業務量削減など業務の効率化を図る事で設備購入費用の内最大80%を助成(上限あり)。

活用例として、建設業でミニリフトを購入し人員・作業日数を短縮、食品製造業で油ろ過機を購入し、パン粉除去作業時間が大幅に短縮などが紹介されました。

★業務改善助成金

その事業独自に必要な機械等の設備導入での業務の効率化を図る場合に購入費用を最大75%助成(上限あり)。時給1020円(10月からは1070円)以下の従業員がいる事が条件。賃金を上げる人数によって上限は変わります。活用例として業務用の冷蔵庫、食品製造用の機器、業務用冷凍車、キャッシュレスシステム、券売機の導入などが紹介されました。



いずれの助成金も就業規則や雇用契約書、出退勤管理等の適正な労務管理が必要です。

出勤簿がカレンダーに丸しただけ、残業代を込みで給与を払っていたつもりなど管理不十分な場合は、未払残業代で思わぬトラブルに発展するケースもあります。

2024年問題で建設業や運送業の残業規制が強化された問題にも触れ、これまでと何が変わったのかも学習。建設業も運送業も原則、残業は月45時間、年360時間という規制が新たに始まりました(業種ごとに特例有)。規制内での残業であれば土日に働いても残業しても問題ありませんが、毎年36協定届を労働基準監督署に提出する必要があります。

雇用契約書、就業規則などを整備して適正な労務管理をしておく事で、雇用条件や残業代など従業員とのトラブルを防ぐことになると話されていました。


助成金は条件を満たせばほぼ100%支給され、返還不要です。


従業員を雇う前や、雇用形態の見直し、設備投資のタイミングなどで対象となる助成金がないか確認してみましょう。日々の労務管理や助成金等ご相談がある方は事務局にお知らせください。社労士の紹介も可能です。

広島ドラゴンフライズの浦伸嘉社長を講師に招き、講演

「ナンバーワン戦略 チーム運営と企業経営の共通点」
広島ドラゴンフライス 浦 伸嘉社長


広島民商の今年度学習会特別企画として9月4日、広島ドラゴンフライズの浦伸嘉社長を講師に招き、チーム運営型企業経営論について講演頂き、会場に29名(オンラインに5名)が参加しました。

ドラゴンフライズは創部10年となる今年、下馬評を覆す快進撃を見せ、5月に奇跡のリーグ初優勝を果たしました。ナンバーワンに輝くためのチーム運営・経営戦略は、企業経営の参考になるものばかりでした。


成果を出す確率を上げる 

バスケットボールという競技は、確率のチーム競技と言われており、シュートの成功率45%の人と48%の人がいたとすれば、1%以上でも確率が高い人を選択していくことで得点力が上がります。また、1、2秒の差でも逆転する可能性があり、1秒で勝敗が決まる世界。これは会社でも同じで時間を追求することが確立を上げることに繋がる。ドラゴンフライズでは常に成果を出すために確率と時間を最上位概念として考えているそうです。

また、組織として結果を出していくためには、次の5つの要素が重要であると挙げられました。


①明確な共通目標

まず平均観客数4000人を目標を設定。目標が明確だと、そのために何をすればいいかも明確になっていく。何かトラブルやクレームがあった時も「その対応で目標達成できるのか?」という基準で素早く判断することができます。


②共同の意志

共にみんなで成果を出そう! 一緒に働こうと思う意志を持てるかどうかが大事。自分の意志だけでなく、チームの要請を受け入れないと組織として力を発揮できないし、ルール遵守の意志も重要。共通の目標達成のためには、共同の意志を持たなければ、お互いの力を発揮できません。


③コミュニケーション

いかに正しい情報が集めることができるかというのが組織化の本当に重要なポイント。その方法がコミュニケーション。特にミスやトラブルなどネガティブな情報をいかに報告しやくするかが重要。ミスの報告で改善点が見えたり、トラブルが大きくなるのを防ぐこともできます。


④結果を導くリーダー

圧倒的な統率能力があるリーダーの存在は欠かせません。優秀なコーチやリーダーは持っている力を見抜くことができ、それぞれにオーバーポテンシャルズ(120%のポテンシャル)をかけた上で、競争させてチーム全体の能力を最大限引き上げていく。そうすることで、目標達成や課題解決へと繋がっていきます。


⑤効率的・合理的なルール

日本がこれだけ治安がいいのは、法律と条例がものすごくレベルが高いから。企業も同じで組織の中でいいルールがあると非常に成果が出やすいと思います。


ナンバーワンを目指す

広島ドラゴンフライズでは、こうした5つの要素を意識しながら、常に1番に「ナンバーワン戦略」を掲げています。NO1に徹底的にこだわり、大きな枠組みでのNO1はもちろんのこと、小さな枠組みでもNO1を目指すことで、注目を得ることができ、影響力を出すことができます。


マスコットキャラクター「モヒカンアビィ」はマスコット総選挙で去年は9位。全体1位を目指しながらも、どうすればNO1を獲れるかを考え、鳥のキャラクターマスコットの中で、鳥類ナンバーワンを目標に見事達成。小さな枠組みのNO1でもメディアに取り上げられ、ファミリーマートとの共同企画に発展したりと影響力を広げることができました。

何かしらNO1を取れるところで取っていくと、影響力を出せるということです。


また、企業経営では「管理・財務・経理」がディフェンス面。労力をかけすぎたり、人を入れすぎたり、大事なところを外注し過ぎたりしていると、結局そのディフェンスがおろそかになり、いい攻めができない。コストや労力をかけずにやれている企業が結果を出していると話されました。


Bリーグは来季からアリーナの収容人数5千人以上での開催となるため、ドラゴンフライズは5年契約でグリーンアリーナを使うことになっています。今、新しいアリーナ建設に向けても懸命に取り組んでいます。


5月にドラゴンフライズが優勝し、カープもサンフレッチェも優勝争いをしています。3競技で優勝し、トリプルクラウン(三冠)ということなれば、広島をスポーツ王国として日本の歴史に永遠に刻める最大のチャンスです。相乗効果で広島の経済効果も大きく見込めるのではないでしょうか。

広島民商でも次期リーグ戦では大応援ツアーを計画中。ぜひ皆さんもご参加ください

広島市に小規模企業・中小企業振興条例制定を!

広島市議会と市内民商が懇談

広島市議会に設置されている政策立案検討会議。所属議員3人以上の広島市議会全会派で構成される組織で、議会の政策立案能力の強化を図るために設置されています。これまで、平和推進に関する条例や食品ロスの削減の推進に関する条例の立案を行い条例の制定につなげているそうです。


今回のテーマは中小企業振興に関する条例立案の検討を進めるにあたり、中小企業者の現状や、必要としている支援策等を把握するため、各中小企業支援団体との懇談の一環として、広島民商をはじめとした市内民商と懇談を行うこととなりました。

9月4日に行われた懇談会には、水野考議員(代表)をはじめ7名の議員と市内4民商から15名が参加し、約1時間じっくり懇談を行いました。


広島民商からは鳥越満昭会長をはじめ、宮本・四郎田副会長、事務局ら5名が参加。水野代表のあいさつに続き、鳥越会長から民商の組織について説明。また運動や活動の内容を具体的に説明を行いました。

続いて私たち小規模事業者の現状をそれぞれから報告しました。四郎田副会長(弁当製造販売)は「食材などの原材料をはじめ、ガソリンなどエネルギーの値上がりが凄まじい。加えて最低賃金の賃金上昇などで経営はアップアップ。しかし価格に転嫁することが正直できずに大変困っている」。鳥越会長は「2024問題で土曜日に現場が動かなくなったが、単価は変わらず工期も変わらない。結局しわ寄せは一番下の我々のところにやってくる」などと実情を訴えました。


地元広島で生活する人たちにとって地域経済活性化は、私たち事業者も、地域金融機関も、基礎自治体である広島市も、市民の代表たる市会議員も、そこで営業し居住するすべての人の共通の願いです。地元で営業し雇用を支え生活する小規模・中小企業者が発展してこそ地域経済は活性化します。


懇談会は一時間の予定でしたが、互いの意見交換をする中で予定時間をオーバーするほどの熱気あふれる懇談となりました。

毎年、広島市当局とは懇談はするものの「条例はないが中小企業振興の施策は講じている」「商工会議所や金融機関などから条例策定の強い要望もなく条例制定の機運醸成がない」などいつも否定的な意見ばかりですが、今回の懇談会を契機にぜひとも広島市に実効性のある小規模企業・中小企業振興条例制定を目指し運動していきましょう。


一般の税務調査は「任意調査」と言われるもので、税務署員が「納税者の理解と協力を得ておこなう」ものです。令状がある強制のものとは違います。 任意調査において、納税者が納得できないような調査は、本来あってはならないもの。民商では「税務調査10の心得(納税者 の権利10か条)」などを学びながら、仲間が立会うなど協力し合って、自信を持って調査に対応できるようにしています


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